第五層の無意識インジェクション

監視社会をサバイバルする方法を伝授します。

【GrapheneOS活用】脱Googleを目指す実用的アプリ構成


前回の記事では、GrapheneOSの導入方法と

導入直後にインストールすべき基本アプリについて解説した。

 

今回は「前回のアプリ郡に加えて」更に利便性を高めるためのアプリを紹介する。

完全な匿名化ではなく、「脱Google」に焦点を当てた実用的な構成を意識した。(AuroraStoreに存在しないアプリは注釈を入れている。)


推奨アプリ一覧と解説

システム

Accrescent
GrapheneOSにプリインストールされている

App Store」からダウンロードできる新興アプリストア。

安全性と透明性に配慮したアプリが入手可能。(アプリ数そのものは少ない)。

後述のironfoxはAccrescentからダウンロードする。


ツール

Collabora Office
オープンソースのOfficeアプリ。WordやExcelファイルの編集・閲覧が可能。

Magic Earth
プライバシーを重視したナビゲーションアプリ。

Google Mapsの代替として。オフライン地図にも対応している。

Proton Mail
スイス発のエンドツーエンド暗号化(=通信内容を第三者に読ませないための暗号化)

メールサービス。Gmailに代わる選択肢として。

Simple Text Editor
軽量でシンプルなテキストエディタ。ちょっとしたメモに便利。

F-droidからもダウンロード可能。


インターネット

ironfox
Firefoxベースの軽量・改良ブラウザ。

よりプライバシー保護に特化しており、トラッキング対策や広告ブロックが

初期状態で強化されている。

Firefox系のインターフェース(=画面の構成や操作感覚)に慣れている

ユーザーにおすすめ(個人的にはVanadiumとBraveがあれば十分ではある)。

前述のAccrescentから入手可能。

NewPipe
YouTubeの動画を広告なしで視聴できるアプリ。

アカウント不要。F-droidからダウンロード可能。

PipePipe
NewPipeからフォーク(独自発展)した動画視聴アプリ。

YouTube以外にniconicoやBiliBiliの動画視聴も可能。

こちらもF-droidからダウンロードする。


プライバシー・セキュリティ

Mullvad VPN ※有料
匿名性に特化したVPNサービス。アカウント登録不要で利用できる。(最大5台まで)

Orbot
Android端末をTorネットワークに接続できるアプリ。匿名性を高めたい場合に有効。


メッセージ

Session
電話番号不要で使える分散型メッセンジャー

匿名性とプライバシーを重視した通信が可能。F-droidからもダウンロード可能。


ストレージ

MEGA 
エンドツーエンド暗号化に対応したクラウドストレージ。

Google Driveの代替として推奨される。※無料版は20GBまで


音楽プレイヤー

Fossify Music Player
オープンソースの音楽プレイヤー。F-Droidからも入手可能。


このように、Googleに依存せずとも

快適にスマートフォンを活用できるアプリ構成は十分に実現可能である。

ある程度の利便性も考慮したため匿名性を追求する構成ではないが、

Google(脱Apple)生活の第一歩としては非常に実用的だろう。

 

次回は、GrapheneOSの「プロファイル機能」について詳しく解説する。

用途別に環境を分けたい方は、ぜひご期待いただきたい。

GrapheneOSの導入方法と初期セットアップ完全ガイド


前回は、「監視社会から逃れるには、GrapheneOSの導入が不可欠である」という話をした。
今回はその続編として、GrapheneOSの導入方法と、導入直後に入れるべきアプリについて解説する。


GrapheneOS搭載済スマホという選択肢

GrapheneOSがあらかじめ導入されたPixel端末は、インターネット上で購入できる。

  • AntiSpyPhone

  • Ghost Phone

  • NitroPhone

これらはすべて名前こそ異なるが、

実態はGrapheneOSをインストールしたGoogle Pixelにすぎない。
特別な独自機能があるわけでもない。(はず。)

これらの端末は価格設定が非常に高く、コストパフォーマンスは悪い。
(Ghost Phoneは比較的安価。)

環境さえ整っていれば、GrapheneOSは自分で導入できる。

高額な完成品を買う必要はない。


GrapheneOS導入に必要なもの

  • インターネット環境

  • GrapheneOS対応Pixel(Pixel 6以降を推奨)
     ※匿名性を高めたい場合は、中古端末を店頭で現金購入するのが望ましい。

  • PC(Windows / macOS / Linux

  • データ転送対応USBケーブル(USB-C to C または USB-A to C)

  • WebUSB対応ブラウザ(Google ChromeなどのChromium系が推奨)

初心者にとって最も簡単なのは「WindowsGoogle Chrome」の組み合わせである。


1. Pixel本体の準備

  • バックアップを取る
     GrapheneOSを導入すると端末は初期化される。重要なデータはすべて事前に退避すること。

  • 開発者モードを有効にする
     「設定」→「デバイス情報」→「ビルド番号」を7回タップする。

  • OEMロック解除を有効にする
     開発者オプション内の「OEMロック解除」をオンにする。

※USBデバッグは不要。WebUSBではfastboot通信のみを使用するため。


2. PC側の準備

Windowsの場合:

Linuxの場合:

  • Debian系:android-sdk-platform-tools-common

  • Arch系:android-udev

  • 念のため、fwupdは一時停止しておくと安全である。


3. GrapheneOS Webインストーラーにアクセス

公式ページ:
https://grapheneos.org/install/web

WebUSBに対応したブラウザ(Chromeなど)でアクセスする。
※Snap版・Flatpak版のChromeは不可。


4. Pixelをfastbootモードで起動

  • 電源を切る

  • 「音量下」+「電源」ボタンを同時に長押し → fastbootモードに入る

  • USBケーブルでPCと接続する


5. WebUSBでGrapheneOSを導入

  • Pixelが認識されたら、「Unlock bootloader」をクリック

  • 警告画面に従って進める

  • 「Install」操作で導入が始まる(所要15〜30分)

  • 完了後、「Lock bootloader」で再ロック

  • 再起動すれば、GrapheneOSが立ち上がる

 

以上で、GrapheneOSの導入は完了だ。


まず入れるべきアプリ

最初に入れるべきアプリを紹介。

■ F-Droid

オープンソースアプリを配布するストア。

Vanadiumで下記URLにアクセスしてAPKを取得する。
https://f-droid.org/
※APKは必ず上記の公式サイトからダウンロードすること。

■ Aurora Store

Google Playアプリを匿名で取得できるクライアント。F-Droidからインストール可能。
初回起動時に「匿名モード」を選択することで、Googleアカウントなしで利用できる。
※一部アプリ(Play開発者サービス依存)は動作しないので注意。

■ Brave Browser

広告ブロックやフィンガープリント(ユーザーの識別情報)対策が標準で有効なブラウザ。
Vanadiumよりも機能が多く、翻訳機能(Brave Translate)も搭載。Aurora Store経由でインストールする。

■ Tor Browser

匿名性最優先のWebブラウジングツール。

通常のブラウザと異なり、「Torネットワーク」を経由して通信を行う。

.onionサイトの閲覧が可能。

Aurora Storeからインストールする。

※Guardian Projectのリポジトリを追加すれば

   F-droidからもインストール可能。

■ Proton VPN

スイス拠点のノーログVPNサービス。無料プランでも日本を含む5か国に接続可能。
F-droid、Aurora Storeどちらからでも入手可能。

通信の匿名性を高めるために推奨。

■ アルテ日本語入力

GrapheneOSは標準で日本語入力ができないため、Aurora Storeから導入する。
サブスク加入案内が頻繁に挿入されるのが惜しいが

ユーザーの入力データを収集せず、安心して使える。

※Gboardを使う場合は、すべての送信設定を無効化すること(ただし自己責任)。


次回は、さらに実用性を高めるためのアプリ群について詳しく紹介する。

 

 

はじめに:あなたのスマホは第五層に繋がっている


スマートフォンは「もう一人の自分」だ

この15年で、スマートフォンは生活必需品へと進化した。
もはや「電話」ではない。GPS付きID追跡装置、そして・・・
(使い古された表現かもしれないが)「もう一人の自分」である。

スマートフォンには、銀行口座、SNS、各種パスワード、写真、行動履歴・・・
他人には絶対に見せられない個人情報が、すべて詰まっている。

GoogleAppleは「検索」だけでなく、
通話、移動履歴、趣味嗜好、思想傾向に至るまで、
私たちの情報をあらゆる手段で収集している。
しかも、その手口は私たちが気づかぬほど巧妙だ。

しかし、だからといって「スマホを手放せ」というのは現実的ではない。
現代社会において、スマートフォンもはや生活インフラの一部だ。


では、監視を逃れることは可能か?

答えは――YES(可能)である。

このブログでは、
Google・脱Appleを前提としたスマホ運用術を中心に、
監視社会から逃れるための実践的ノウハウを共有していく。


GrapheneOSという選択

前述のとおり、スマートフォンはもはや自分の分身であり、
同時に無意識への侵入口となっている。

そして、その無意識の入口は、
AppleGoogleといった巨大企業によって支配されている

本当の自由を勝ち取りたいなら、
選ぶべき道は明確だろう。


GrapheneOSとは?

Google Pixel専用に開発された、セキュリティ特化型のAndroid派生OS
Googleのサービスを完全に排除し、
アプリの挙動を細かく制御できる強力な分離環境を提供する。

  • Googleに一切依存しない運用が可能

  • アプリごとのネット通信、マイク、カメラ等の権限を完全制御

  • プロファイル機能により、用途別の環境を完全に隔離可能

GrapheneOSは、
スマホ=監視装置」という構造を破壊するために設計された思想性を持つOSだ。


これは、ただのOSではない

GrapheneOSは、
監視社会から距離を取るための最初の「ツール」であり、
無意識インジェクションに抗うための武器でもある。


次回は、GrapheneOSの導入手順と、
合わせてインストールすべきアプリについて解説する。